芦名くんの隠しごと



───はじかれたように、顔に熱が集まる。


どう答えたらいいのかわからなかった。

芦名くんが好きって気持ちは変わらないけど、“たったひとり”なんて、そんな大切なもの、私がなっていいのかな───。



「野乃の気持ちを聞かせて」



ずるい。

きっと、わかってるくせに。


だけど、その視線に敵うわけがなくて。



「………芦名くんのことが好き、です…」


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