何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
その頃星羅は、兵士に案内された先にある扉に手をかけた。するとその扉は、いとも簡単に開いた。
しかし、その中は真っ暗で、そこにあるであろう道もほとんど見えない。
その真っ暗な道を躊躇する事なく、星羅は一人進んで行った。

「星羅!」
「え…?」

突然呼ばれたその声に、星羅は思わず立ち止まった。

「ねえ、星羅歌って!」 

その懐かしい声の先には、一人のまだ小さな少年が立っていた。

「…なるほどね。これが怪物ってわけ。」

星羅には、彼が出てきた意味が、分かっているようだ。


「ここで立ち止まってるわけにはいかないの。」


しかし星羅は足を止める事なく、その少年の横を通り過ぎて行く。



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