何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「でも…神様を信じて救われる人もいるって、聞いた事あるよ。」
天音はそんな星羅の気持ちをなだめようと、そんな言葉を遠慮がちに、つぶやいた。
「…じゃあ、私は救われないのね。」
「星羅、そういう意味じゃな…。」
天音の言葉を最後まで聞く事なく、星羅は突然席を立ち、教室を出て行ってしまった。
天音の言葉は、どうやら逆効果のようだった。
「あんらー、ご機嫌斜めだね星羅。」
どうやら、横で見ていた華子も、いつもよりもトゲトゲしい星羅に、警戒していたようだ。だからこそ、二人の会話に不参加をきめこんでいたのだ。
「…。」
天音は、また考えなしに余計な事を言ってしまったと、肩を落としていた。
「なんで、あんなに神様嫌いなんだろうね。変なの。気にすることないよ、天音。」
華子はそう言って、しゅんとして元気をなくしている天音を、慰めた。
「…。」
しかし、そんな華子の慰めの言葉では、天音の心は晴れる事はなかった。
神がいるなら天使教はいらない……。
そう言った星羅の真意は何なんだろう…。天音はその後の時間も、その事を考えていた。