何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「あー、何だかスッキリした!」

天音は京司と別れ、すっきりした表情で、一人部屋に戻ろうとしていた。
青と京司と話をした事で、天音の心のモヤはすっかり晴れていた。

バッ!!

「んー!!」

しかし、城の中を歩いていたその時、急に背後から何者かに口を塞がれた。

…何!?誰!!

「んーんー……。」

どうやら天音は薬をかがされたようで、ぐったりとし、重い体を見知らぬ誰かに預けていた。


「…あまね…すまない。」


消えゆく意識の中で、どこか聞き覚えのある、その心地のよい低い声が、天音のガンガン痛む頭の中に微かに響いた。
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