何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「え…。」

天音はその光景に目を奪われながらも、黙って辰の手を取った。
辿り着いたそこは、山が開けていて、景色を一望できる、絶景スポットだった。

「ここは、夕日が一番きれいに見える場所なんだ。」
「…。」

夕日が少しだけ顔を出した時刻。
そこにはうっすらと赤く染まった、小さなお墓がポツンとひとつたたずんでいた。

「…。」


天音は口を固く結び、下を向いた。



(…やっぱり……。)



天音はなんとなくわかっていた。
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