何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】
「で?天音に会って、青の事でも聞くつもり?」

かずさは、睨みをきかす月斗の方へと、その視線を移した。
月斗が天音を探しているその理由は、ただひとつ。
月斗も知り合いであろう、青の事。

「ハ?」

そんなかずさの一言に、月斗は思いっきり顔を歪めた。

「やっぱり、かずさには何でもお見通しなんやな。」

りんは、月斗の表情を見て、言わずにはいられなかった。
かずさの何から何まで知っているようなその冷たい目には、一体何が映っているのか…。
それは、まだわからないまま。

「あなたが知りたいのは、天音は本当は村ではなく、この町に居たんじゃないかって事でしょ?」

今度は、かずさの視線がりんへと移り、わざとらしくりんを挑発するように、そう言ってみせた。
そう、私はなんでも知ってる。と言わんばかりに。

「…。」

その言葉に、りんは笑顔を消して、めずらしく押し黙った。

「それとも、なぜ京司が天師教なのかって事?」
「え…。」

そして今度は、星羅の方を見て、かずさが不敵に笑った。
その言葉に、星羅は声を漏らさずにはいられない。


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