御坂くん、溺愛しないで。




そうこうしているうちに始まる練習試合。

さっきまで笑い合っていた御坂くんと同期の男の子が、嘘のように真剣な表情へと変わる。


ふたりはコートの外から声出しをしていた。



「あっ、筧くん出てる…!
スタメンなんだね!」

「理玖ほどじゃないけど一応秀太も推薦断ってるらしいね」

「そうなの?」

「まあ秀太の家庭は厳しいから、将来性のある高校に入学させたかったらしいよ」


確かにここの高校はレベルが高いほうだ。

けれど親の望みで推薦を断ったのだとしたら、それは自分の意思ではない。


明るい筧くんにも抱えているものがあるようだ。


ただ今試合に出ている筧くんはプレーしていて楽しそうで、二年生ながらキラキラ輝いている。

そのような笑顔を見て安心する私もいた。

< 262 / 345 >

この作品をシェア

pagetop