御坂くん、溺愛しないで。



「ほら、理玖の試合観る!
今ちょうどシュート決めたところなのに」


琴葉に言われてコートに視線を戻せば、御坂くんと筧くんが笑い合っているところだった。

ふたりの連携でシュートを決めたのかもしれない。


御坂くん、と心の中で一度呟く。

彼が遠くなっていくようで怖い。
歳も違うから、それだけで距離を感じる。


ダメだ、弱気になったら。
わかっていても心に重りがのしかかるような気さえした。


結局試合は御坂くんたちのチームが快勝したけれど、気分は晴れなくて。

素直に喜べなくなる自分が醜い。


「もー咲!終わっちゃったじゃない…時間的にあと一試合だから三年中心の試合で終わるでしょ?もう理玖観れないかもよ」

「そうだね…」

「試合終わって、ミーティングも終わったら差し入れ渡しに行くからね!その時には暗い表情禁止だよ?」

「うん…」


わかっている。
こんな落ち込んだって意味がないってことは。

< 268 / 345 >

この作品をシェア

pagetop