御坂くん、溺愛しないで。
「ほら、理玖の試合観る!
今ちょうどシュート決めたところなのに」
琴葉に言われてコートに視線を戻せば、御坂くんと筧くんが笑い合っているところだった。
ふたりの連携でシュートを決めたのかもしれない。
御坂くん、と心の中で一度呟く。
彼が遠くなっていくようで怖い。
歳も違うから、それだけで距離を感じる。
ダメだ、弱気になったら。
わかっていても心に重りがのしかかるような気さえした。
結局試合は御坂くんたちのチームが快勝したけれど、気分は晴れなくて。
素直に喜べなくなる自分が醜い。
「もー咲!終わっちゃったじゃない…時間的にあと一試合だから三年中心の試合で終わるでしょ?もう理玖観れないかもよ」
「そうだね…」
「試合終わって、ミーティングも終わったら差し入れ渡しに行くからね!その時には暗い表情禁止だよ?」
「うん…」
わかっている。
こんな落ち込んだって意味がないってことは。