御坂くん、溺愛しないで。
「理玖が木原ちゃんと話したいらしい。
なんか一緒に帰りたいとか言ってたかなぁ」
「……っ、御坂くんが…?」
少し期待を膨らませてしまう。
先ほどまで落ち込んでいたのに、筧くんの言葉でこれほど気分が変わるだなんて単純だ。
「まあ本人に確認すべきだな、木原ちゃん。まだ選手みんな体育館の外にいるだろうから、声かけてやってくれ」
「す、すぐ行きます!」
「もー、咲って単純…」
琴葉が呆れるのもわかるけれど、自分でも驚くほど足が軽やかになる。
「琴葉、早くっ!」
「わかってるよ」
だって御坂くんが一緒に帰りたいって、本当に思ってくれてるのだとしたら。
嬉しくて自然と頬が緩んでしまう。
少し急いでギャラリーを後にし、体育館外へと目指して歩く私と琴葉。