御坂くん、溺愛しないで。



先ほど買った差し入れの袋をふたつ、琴葉と分けて持ちながらようやく外に出た。

けれど───


「本当にかっこよかったよ!」
「理玖くん、すごくバスケ上手だね!」


ギャラリーで観戦していた時、隣で同じように観ていた女の子ふたりの声がして嫌な予感がした。


思わず足を止めて声のするほうに視線を向ければ、体育館の入り口を出てすぐにある水道場でバスケ部のみんなが集まっており。

その中でやっぱり女の子ふたりが御坂くんと話していた。


そして御坂くんの周りをバスケ部の男の人たちが囲い、彼を羨ましそうに見つめている。


「あっ、これ差し入れ!
スポーツドリンクだからみんなで分けて!」

「わざわざ良いのに」

「いーの!私たちが勝手に観にきただけだもんね?
受け取ってよ!」

「じゃあ…ありがとな」


ズキッと痛む胸。


同級生だから当たり前だけれど、御坂くんの敬語ではない砕けた話し方は新鮮で。

また心がズシリと重くなる。

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