御坂くん、溺愛しないで。



「ほら、理玖が咲を探し始めたんじゃない?」
「うん…」


私を探してくれているのかな。
少し期待を抱き、先ほどの筧くんの言葉を思い出す。

『一緒に帰りたい』と御坂くんが言っていたと。



もし御坂くんがそう言ってなかったとしても。
私は、私が……御坂くんと一緒に帰りたい。

隣で笑いかけてほしい。
他の女の子と話して、仲良くされるのは嫌だ。


私が御坂くんの一番になりたい。


「琴葉」
「何?」

「私、御坂くんのところに行ってきます…!」
「おっ、咲にしては勇気ある判断だね」


偉い偉い、と言って琴葉に褒められる。

不安が消えたわけではないけれど、御坂くんへの気持ちは本物だから。


勇気を出すんだと自分に言い聞かせ、琴葉の前に出る。

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