御坂くん、溺愛しないで。
袋を持つ手に力を入れ、逃げられないよう少し駆け足で御坂くんの元へと向かった。
「……っ、御坂くん…!」
緊張のあまり声が震える中、彼の名前を呼ぶ。
すぐに御坂くんは反応を示して私のほうを向いたものだから、思わず足を止めそうになったけれど。
大丈夫だと言い聞かせ、御坂くんの目の前に行った。
けれど御坂くんのいる場所は男の人がたくさんいるため、怖気付いてしまう私。
バスケ部のみんなの視線が集まったのだ、無理もない。
本当は逃げ出したい。
せめて御坂くんだけを呼んで、どこかに移動するとか。
けれどここまで来たのだ、もうバカみたいに震えてビビっていた自分とはおさらばするのだと心に決め、御坂くんに差し入れを渡す。