御坂くん、溺愛しないで。
「み、御坂くん、お疲れ様です…!
これ琴葉と私からの差し入れで、あのっ…」
ダメだ、緊張のせいで言葉がうまく出てこない。
御坂くんだけでなく、他の男の人にも見られているため余計に恥ずかしさが増す。
「木原先輩」
「は、はい…」
「わざわざ差し入れまでありがとうございます。
すごく嬉しいです」
「……っ」
私の手渡した差し入れを受け取り、御坂くんが嬉しそうに笑う。
先ほどの女の子たちには見せていないその表情に、少し優越感があった。
「うわぁ、見たか今の理玖の笑顔」
「さすが木原咲ちゃんだぜ…」
するとまた私の名前を三年生に呼ばれたため、一瞬ビクッとしてしまう。
「あっ、そうだ。木原さん、知ってました?
理玖っていつも木原さんの話ばっかしてるんですよ」
さらに御坂くんと一緒に試合に出ていた同期の男の人が、突然彼の後ろから姿を現し話しかけてきた。