御坂くん、溺愛しないで。



「み、御坂くん、お疲れ様です…!
これ琴葉と私からの差し入れで、あのっ…」


ダメだ、緊張のせいで言葉がうまく出てこない。

御坂くんだけでなく、他の男の人にも見られているため余計に恥ずかしさが増す。


「木原先輩」
「は、はい…」

「わざわざ差し入れまでありがとうございます。
すごく嬉しいです」

「……っ」


私の手渡した差し入れを受け取り、御坂くんが嬉しそうに笑う。

先ほどの女の子たちには見せていないその表情に、少し優越感があった。



「うわぁ、見たか今の理玖の笑顔」
「さすが木原咲ちゃんだぜ…」

するとまた私の名前を三年生に呼ばれたため、一瞬ビクッとしてしまう。


「あっ、そうだ。木原さん、知ってました?
理玖っていつも木原さんの話ばっかしてるんですよ」

さらに御坂くんと一緒に試合に出ていた同期の男の人が、突然彼の後ろから姿を現し話しかけてきた。

< 279 / 345 >

この作品をシェア

pagetop