御坂くん、溺愛しないで。



「ふふっ、子犬みたいだ」
「あっ、バカにされた」

「バカになんてしてないよ?」
「本当ですか……ひっ」

「拓巳くん?」


拓巳くんと普通に話せていると、突然彼がサーっと血の気が引いたかのように顔色が悪くなる。

思わず名前を呼べば、顔を背けられてしまった。


「お、落ち着け理玖…少し話してただけだろ?」
「あの、拓巳く…」


せっかく聞きたいことがあったというのに、拓巳くんは聞く耳を立ててくれない。

御坂くんがいつも私の話をしていると言っていたから、一体どんな話をされているのか拓巳くんに聞こうと思ったというのに。


「木原先輩」
「は、はい!」

すると今度は御坂くんに名前を呼ばれたけれど、気のせいだろうか。


御坂くんの声のトーンがいつもより落ちていると思うのは。

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