御坂くん、溺愛しないで。
つまりもうすぐ御坂くんがここに来る。
鬼のような形相をしていたらどうしようと、途端に怖くなった。
「おい理玖、いつまで拗ねてんだよ!」
「うるさいです、秀太さんは幸せだからそんなこと言えるんです」
「まあー認める!」
「……うざいです」
ひとり焦っていると、すぐに御坂くんが姿を現した。
そんな彼の隣には筧くんもいて、高校の名前が刺繍されたジャージ姿で私たちの元へと向かっていた。
「ど、ど、どうしよう御坂くんが怒って…」
だって今、御坂くんは筧くんに『うざいです』って言ったよね?
暴言を一切吐かない御坂くんが、そんなことを言うだなんてよっぽどだろう。
さらに焦りが募っていると、とうとう御坂くんが私のすぐそばまで来てしまった。