御坂くん、溺愛しないで。
「……っ、なんで先輩は…」
私の思い切った行動に、御坂くんは何かを言いかけたけれど。
また口を閉じて黙り込んでしまう。
その態度に不安を覚えた。
もしかして、この行動を不満に思ってしまった?
御坂くんは私のこと、実はなんとも思っていない?
胸の内で膨らむ不安。
泣きそうになるほど苦しくなる。
「先輩」
「は、はい…!」
視線を落として俯いていると、もう一度御坂くんに名前を呼ばれ、勢いよく顔を上げた。
「もうすぐ駅着くんで、とりあえず帰りましょう」
「え、とりあえず…?」
「先輩にあんなこと言われて、平然といられるわけないじゃないですか。すぐには家に帰しませんよ」
少し照れながらも、目は揺らがずまっすぐな彼。
これは、もしかして…と自分の中でも期待しながら、駅に着くまで私たちはずっと手を繋いでいた。