御坂くん、溺愛しないで。
*
帰りの電車は気まずく、ひと言も話すことはなかった。
けれどドキドキは止まらなくて、何度も御坂くんの横顔を眺めては背けるの繰り返し。
こんな気持ち初めてだ。
ドキドキして、けれど幸せで。
先ほどのやりとりを思い出してはにやけてしまう。
そのため途中からは気まずさなど感じず、意外と早く私たちが降りる駅に着いた。
「御坂くん、今日は遠回りして帰りますか…!」
「遠回りですか?」
「だってすぐに帰してくれないんでしょ?
それなら遠回りして帰ろうよ」
「……っ、わかりました。
でも先輩ってなんなんですか、小悪魔ですか」
小悪魔だなんて初めて言われた。
そんな意地悪をした覚えはない。