御坂くん、溺愛しないで。



「御坂くんと少しでも長くいたいって、思っただけだよ」


御坂くんがバスケに入部して以来、彼との時間はなくなるばかり。

そのためこの時間はとても貴重なものである。


「そんな素直も困ります…」
「じゃあどうすればいいの?」

「黙っててください」
「むっ、それはずるい」


黙れだなんてひどいものだ。

それでも御坂くんは少し照れているため、仕方なく口を閉じる。


そして私たちはいつもと違う道を通りながらも、確実に私たちの家へと近づいていく。


「……先輩」
「なんですか」

「俺の家に近い公園に行っていいですか?」
「公園?」

「そこで先輩と話がしたいです」


ドキッとした。
御坂くんの言葉に。

そして無意識のうちに期待を抱く私がいて。

< 295 / 345 >

この作品をシェア

pagetop