独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「こ、香坂先生⁉」
「あ、やっぱり冨永さんだ」
少し驚く素振りをしていた彼の表情に、いつもオフィスで見せる穏やかな笑みが戻る。
「ど、どうして、ここに」
「飲みに来たんだ。落ち着けていいよね、この店」
そうか、このバーは事務所にも近いし、ほかの先生だって使うよね。
知り合いが来る可能性をまったく考えていなかった自分に憤りを感じていたら、ふと香坂先生のとなりに知らない女性が立っていることに気づいた。
長い髪を後ろでひとつにまとめた、華やかな美人だ。
服装はブラウスにスカートという普通のオフィスカジュアルなのに、顔立ちがとてもはっきりしているせいか派手な雰囲気がある。
「あ、ちょうどいい。紹介するよ」
私の視線に気づいた香坂先生が、パッと嬉しそうに笑みを広げた。