独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
「冨永さんにも、ああいう可愛いところがあるんだね」
昨夜の醜態がよみがえって、悲鳴交じりに叫んだ。
「わー! もう、忘れてください!」
「いや、あれは忘れられないよ」
思い出し笑いをするように、彼は広い肩をくつくつ揺らす。
「大好きですー! って叫んだり、いやあ、なかなか」
なにかのツボにでも入ったのか、長身をかがめて笑いだす彼に赤面が止まらなかった。
そんなところまで目撃されてたなんて。
通路に立ち尽くし、夕べのことを思い出す。
穴に入ったくらいじゃ足りないくらい恥ずかしい。地球の裏側まで続く地中トンネルでも掘らないと、恥ずかしさがあふれ出そうだ。
全身真っ赤になっている私にかまわず、香坂先生は続ける。
「本当、普段の冨永さんからしたら考えられないな」
彼がそこまで言ったとき、通路の奥のガラス扉が開いた。