独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「でも、ダメです。職場でこんなこと」

 まくられたブラウスを直しながら言うと、彼は改めて私に視線を注いだ。峰島先生の体に邪魔されて、脚はいまだに閉じられない。

 私の動きを封じる意図があるのか、それともただ茫然としているだけなのか。彼はそこから動かず、ただぽつりとつぶやく。

「ここじゃなければ、いい?」

「え……?」

 雲に隠れていた月が顔を出したのだろうか。ふいに彼の瞳がまっすぐ見えた。

 強い目線に射抜かれて、言葉を忘れる。

「抑えられそうもない」

 いつも三人の若手先生が使っている部屋の空気が、峰島先生の切なそうな声に呼応して震える。

 真っ黒の瞳に見つめられて、息ができなかった。

「優梨子を抱きたい……今すぐ」

 いつも私の心を震わせるその声は、かすかに掠れていた。

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