独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
峰島先生から声をかけられないように、誘いに乗らないように、ここのところ物理的にも精神的にも彼を遠ざけていたつもりだった。
仕事だけの関わりに戻ろうと必死だった。
それなのに、どうしてそんな目で私を見るの。
オフィスではいつもつんとしている峰島先生の切実な訴えは、私の胸をこれまでにないくらい軋ませる。
こんなの、無理だよ。
教えてほしい、と思った。
好きな人からこんなふうにまっすぐ求められて、揺らがない女の人なんているのだろうか。
いるなら教えてほしい。
飛び込んだら溺れるにちがいない広大な海の真ん中で、愛しい人が両手を広げて助けを呼んでいても、見ないふりができるのなら。
誰か教えて。
今この瞬間、私だけに注がれる真っ黒な瞳から、逃れる術があるのなら――。