独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 合わさった口の端から、どちらのものともつかない吐息がこぼれて、広い玄関に艶めかしい空気が満ちていく。

 唇が離れると、息を乱した峰島先生が苦しそうに私を見下ろした。

「こっちに」

 私の手を掴み、廊下からすぐの大きなドアを開いた。

 広いリビングダイニングには大理石のカウンターキッチンがあり、大量の書類や資料に埋もれた革張りのソファが置かれている。その向こうの窓には地上十五階からの景色が広がっていたけれど、ゆっくり見下ろす余裕もないまま、となりのベッドルームに連れ込まれた。

 明かりをつけないまま、彼は私にキスを落とし、ブラウスのボタンに手をかける。さっきとはまるで正反対の手つきで、丁寧に私の服を脱がしていく。

 時計の音すらしない部屋で、自分の心音が高くなっていくのを感じた。

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