独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 でも私の体はどっしりとした疲労感で埋め尽くされていて、とても人様の家のお風呂に入る元気が湧かなかった。しかもここは峰島先生の家なのだ。なんの準備もせずに来ているし、いきなり入浴はハードルが高い。

「……大丈夫か? 気分悪い?」

 心配そうに近づいてくる彼に、「大丈夫です」と微笑む。

 表面ではそうやって笑いながら、心の中では気持ちがまとまらなくて、でも考えることすら面倒になっていた。

 ベッドで体を重ねて、甘いささやきで胸を焦がされて、心も体も満ち足りて。その余韻を静かに味わいながら、このあとに訪れるだろう虚無感を受け入れる覚悟を少しずつ固めていく。

 ぼうっとして何も考えられない今は、そういった心の浮き沈みの中間地点なのかもしれない。

「そんなとこに立ってないで座れよ」

 そう言ってソファを振り返った彼は、しまったという顔で室内を見渡した。

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