独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
傷つくから下手なことを聞くのはやめなさい、と心の中で別の私が声を上げるけど、さらに横からほかの声が割り込んでくる。
全部聞いてしまえばいい、と。
「知識も経験も、なにもかも足りない。今の俺じゃ、まだあの人のとなりには立てない」
「そんなの、関係ないんじゃ……」
峰島先生の素直な気持ちを、本人の口からしっかり聞けばいい。そうすれば、きっときれいさっぱりあきらめがつく。
横から割り込んできた声が、どんどん大きくなっていく。
頭の中で天使の自分と悪魔の自分が囁きあうのだとしたら、どっちが天使でどっちが悪魔になるのかな。そんなことを考えながら、私は端正な顔をそっと見上げた。
「大切なのは、峰島先生の気持ちですよ」
「……まあ、な。だから、いつか絶対パートナーになりたいと思ってる」
強烈な一撃だった。胸に大きく亀裂が入り、そのままばっくりとふたつにひび割れる。