独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
働きながら大学院に通えるだけの体力も経済的な余裕もない私は、必然的に予備試験を受ける道しか残らない。だけど、予備試験自体が本試験に匹敵するくらい難しい。
「模試は受けてないです」
それどころか、ここのところ勉強もろくにできていない。そもそも、法律家になりたいという夢自体、大学を卒業してから薄れていた。それでも願書を出してしまうのは、惰性のようなものだ。
「へえ、本気で受かりたいわけじゃないんだな」
静かな声に顔が熱くなった。司法試験を突破した弁護士先生にとって、法律の勉強は生活そのものだ。まだ受験生の立場なのに勉強をしていない人間なんて、きっと取るに足らない。
「願書出さなきゃいいのに。受験料だって安くないだろ」
溜息が聞こえて、ますます顔が上げられなくなった。