独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 私はとっさに目の前の弁護士先生に視線を戻した。そして、目撃してしまう。

『蒼王子、所長室に来るとしょっちゅう麗香さんのことを見つめてますよ。それはそれは真剣な顔で』

 いつかのランチ時に聞いた雪絵の声が胸を貫く。

 峰島先生は、確かに彼女を目で追っていた。睨みつけているのかと見まがうほど、真剣な瞳で。

 すっと胸の中を冷たいものが下りていく。氷の刃に傷穴を広げられていくみたいに、麻痺した感覚の向こうからじわじわと痛みが滲みだした。

 所長たちの姿が見えなくなって私の視線に気づくと、彼はどことなく照れたような顔で「なんだよ」とつぶやく。気まずそうに顔を逸らす姿にまた胸が痛んだ。

 なんだよ、俺は久世麗香に惚れてんだよ。文句あるか?

 脳内でそんな声が再生され、私は目を伏せる。

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