独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる
蒼王子に対して赤王子と呼ばれ、なにかと比較されることが多い彼は、つんつんして近寄りがたい蒼王子と対照的にミステリアス系男子と言われている。そう呼ばれる最大の要因は、目元を隠す前髪と物静かなたたずまいだった。
「ああなるほど、時系列でまとめるとすごくわかりやすいね。この視点はなかったな。さすが冨永さん」
「いえ」
この事務所の先生たちは、こんなふうに仕事を褒めてくれる人が多い。ほかの事務所で働いたことはないからわからないけれど、パラリーガルなんて小間使いと同じだと思っている弁護士もいるらしいから、この事務所の先生たちはみんな優しいのだろう。
私がこの仕事に誇りをもっていられるのも、そういう先生たちのいるこの神谷法律事務所で働けているおかげかもしれない。