独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 ストロベリーの香りが鼻を抜けて、濃厚なうまみが舌の上に広がる。

「わ、本当だ。おいしい」

 顔を上げた瞬間、峰島先生と視線がぶつかった。慌てたように目を逸らした彼は、左手で隠すように顔を押さえる。長い指に覆われた頬が、どことなく赤いように見えて私は首をひねった。

「どうかされました?」

「いや……」

 彼が言い淀むとそのまま短い沈黙が流れた。私は慌てて声を出す。

「ええと、では業務に戻ります」

 逃げるように給湯室から飛び出そうとした瞬間、後ろから腕を掴まれた。

「あのさ」

 まっすぐ注がれる黒い瞳がどことなく真剣な色味を帯びていて、胸が震える。

「今夜、時間ある?」

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