独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

 そう尋ねられないようここのところずっと逃げ続けていたのに、彼の口から直接出てきた言葉は、やっぱり私の心を強く揺らす。

 時間なんて、ありますよ、もちろん。

 そう答えることで得られる満ち足りた時間と、その後に訪れるだろう空虚な時間。

 その落差に耐えられるくらい神経が太かったら、私はもっと彼との時間を幸せな気持ちで過ごせていたのかな。

「ワインのうまい店を見つけたから、一緒に」

「すみません」

 まっすぐ頭を下げた。どうにか笑顔を作ろうと試みるけれど、口角がうまく上げられない。たったそれだけのことすらできない私の神経が、太いわけがないのだ。

 しかたなく彼のシャツのボタンに焦点を据えたまま、言葉を返した。

「今日は……ちょっと、先約があって」

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