追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
……そう、どんな神様の悪戯か、私はよりにもよって前世で夢中になっていた恋愛シュミレーションゲーム『桃色ワンダーランド』の悪役令嬢アイリーン・オークウッドに転生していたのだ。しかも私の衝撃はそれだけにとどまらない。可憐なヒロイン、リリアーナの本性を知り、私は激しく打ちのめされた。当初は筋書き通りになってたまるかと、悪役令嬢のフラグをへし折るべく、それはもう必死になって奮闘した。
だけど見えざる神の手、ならぬ、『桃色ワンダーランド』のシナリオを手掛けたカリスマライター天王寺桃子の手によって、全ての抵抗に問答無用の軌道修正がなされる無情を前に、私になす術はなかった。
私は遠い目をして、はじめて悪役令嬢としての洗礼を受けた、あの日へと思いを馳せた――。
学園入学から三日目。私はレクリエーションでクラスメイトらと学園からほど近い草原に向かっていた。このレクリエーションこそ、私が悪役令嬢として悪事をやらかす最初の場。私は恐々としてこの日を迎えていた。
ゲーム内の一コマゆえ詳細は省かれていたが、大筋はこうだ。私が同級生のジュースを盗み、それをヒロインに指摘されて「腹下しの泥棒」の汚名を着せられる。ちなみに、何故「泥棒」に「腹下し」という装飾語が付いているのかは、覚えていない。
しかしそれも道理で、ゲームというのは通常ヒロインに共感して楽しむもの。悪役の詳細までいちいち記憶しておけという方が難しいだろう。
とにかく、私は間違ってもジュースに手を触れぬよう肝に銘じ、万全の準備でもってこの日に臨んだ。