追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 ところがだ、学園を出発した直後、私に謎の腹痛が襲いかかった。私は猛烈な腹痛になす術なく、養護教諭の許可を得て救護用の馬車に同乗させてもらった。
『私はクラスの方でお手伝いがあるから行くけれど、あなたはこのまま休んでいていいわ』
『すみません』
 目的地に到着すると、養護教諭は私を馬車に残してクラスに合流した。
 私が一人、車内後部の座席で休んでいると、突然前方の扉から誰かが車内に入って来た。
 ……誰だろう?
『目論見通り誰もいないわね』
 ……ヒロインのリリアーナだ! 甲高い特徴的な声で、すぐに来訪者の正体が知れた。
『はー、かったるい。てゆーか、こんな日差しの下に長くいたら日焼けしちゃうじゃないの。……あら? なにかしら?』
 リリアーナは前方の座席でなにかを見つけたようで、ガサガサとやっていた。
『まぁ、ジュースじゃないの!』
 リリアーナの口にした「ジュース」という言葉にドクンと胸が跳ねた。
 ――キュポンッ。
 ……え!? 不穏な台詞に続き、コルクを抜く小気味いい音を耳にして跳ね起きた。
 嘘でしょう!? ……積荷に勝手に手を付けて、いいわけがない――!
 ――ゴキュッ、ゴキュッ。
 っ!? だけど私が声を発するよりも前、リリアーナは嬉々として喉を鳴らし始める。

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