追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 おそらくマルゴーさんは、新薬の提供を引き合いに出され、カエラちゃんのために断れなかったのだ。
「そういう理由なら、うちへの納品の件はもういいわ。娘さんの健康には変えられないもの」
 シーラさんは生真面目な表情で更に言葉を続ける。
「だけど、ジェームズも言っていたわ。王都からの大口の納品希望は一見チャンスに見えるけれど、慎重にならないと身を切る事になるって。実は以前に、隣村が同じような状況になった事があるの。村の特産品が一時的に王都で高需要になって、村中の農家が王都への供給に注力した。だけどブームは僅か二年ほどで下火になって、取引中止を言い渡されてしまったそうよ。結局、増産のコストは回収できず、村内で売ろうにも、体力のない村の小さな販売店は二年の間にほとんどが店を畳んでしまった。ちなみにその隣村は、近くの町に吸収合併されて今はもうないわ」
 耳の痛い話だった。ブームにのっかっている間はいい。だけどブームが下火になれば、これまで甘言を囁いていた商人らは手のひらを返したように冷たくなって、また別のブームを探し出す。
 そうしてブームが去った後、取り残された地方の産地は悲惨だ。
「そういえば、ジェームズさんの農園は、そこの買い取り交渉には応じなかったんですか?」
 ふと、思い至って聞いてみた。

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