追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「そりゃあ、身に後ろ暗いところのある奴はこぞって駆けつけてくるだろうよ」
私の疑問に、ルークが謎の答えを返す。
真意を問おうと口を開きかけたその時、宿前に広がる異様な光景に気付き、視線が釘付けになった。
「……え? なにあの黒山の馬車?」
私の気が、一瞬で宿前からあふれる馬車に向く。
それもそのはず、そこにはマイベリー村ではとんと目にした事のない最新鋭の高級馬車が十台近くも停まっていたのだ。そうして漏れなく、全ての馬車に貴族の家紋が付いている。
中には、石ころを巻き上げて、私たちを追い越して行った馬車もあった。
……あれ? あの奥の馬車……セント・ヴィンセント王立学園の校章が描いてある!
「おーおー、よくもまぁ王都から一晩でこんだけの数をやって来させたもんだ。お前一体どんな脅しをかけたんだよ」
聞こえてきたルークの言葉に首を捻る。
王都からマイベリー村まで、最新鋭の馬車を休まずに走らせて所要時間はおよそ十時間。昨夜、ジェームズさんのお宅を出たのが午前零時前。そうして現在、翌正午……。
もしこれがルークの言葉通り、カーゴが何某かの脅しをかけた事で集まったのだとしたら、片道分の計算が合わない。
……そう、「疾風の如き速さで駆ける事が出来る」聖獣ででもない限り、只人にはあり得ない。