追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 ところが無事に助かったはずのリリアーナは、階下から真っ赤な顔で私を睨みつけて「アイリーンに突き落とされた」と叫んだ。その時周囲にいた目撃者は全員がリリアーナの取り巻きで、彼らはリリアーナが白と言ったら、黒でも白と言い張る。よってこれも、リリアーナが私に突き落とされたと言ったから、私が突き落とした事になった。
 こうして私はリリアーナに触れずして、突き落としをやってのけたのだ。
「……先ほども言った通りです。私から伝える事はなにもありません」
 この段になると目が慣れてきたのか、繰り広げられる芝居が少し白々しく見えてきた。私はすげなく答え、いまだ続くリリアーナと学園長の三文芝居をジーっと静観した。
「アイリーン・オークウッドを本校からの退学処分とする」
 そうして三文芝居の終わりに、ついに待ちに待った「退学」の一言が告げられた。
 ……や、やっ、やったぁあああ――!!
 耳にした瞬間、稲妻のような歓喜が巡る。同時に脳裏を走馬灯のように、悪役令嬢として過ごした日々が駆け抜けていく。付随して、頬にはドバーッと涙が伝った。

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