追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「カエラちゃんからどういうふうに聞いたのかは分かりませんが、謝っていただく必要はまるでないんです。代金について、カエラちゃんはちゃんと私に足りるかと聞いてくれました。私がそれに大丈夫だと答えてお売りしたんです。だから、カエラちゃんに非はありません。支払いはもちろん、マルゴーさんに謝っていただく必要だってありません」
 マルゴーさんがやっと頭を上げてくれた事に、私はホッと胸を撫で下ろした。
「娘の気持ちを汲んでいただいて、本当にありがとうございました。あなたに謝罪はもちろんですが、私はそれ以上にお礼が伝えたかったんです。今日の午前中、娘が暑い中の作業で大変だろうと言って、私に小遣いで冷たい飲み物を買ってきてくれた。この店の品物だというのは、容器を見て一目で気付きました。娘の気持ちは嬉しかったんですが、娘の小遣いで買える品じゃないというのは、すぐに分かります。それとなく娘に尋ねたら、ここでの経緯を全て教えてくれました。更にあなたが『良い一日を過ごして』と言って送り出してくれたと聞いて驚きました。あなたの優しさに胸が熱くなりました」
 同じだ。私もまた、カエラちゃんにここ一番の笑顔を貰って、胸が温かくなった。今日という日を微笑んで過ごす事が出来たのだから。

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