追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
――カラン、カラン。
「ごめんください」
カーゴが店を出てすぐに、一人の男性が訪れた。
「いらっしゃいませ……あ、マルゴーさん!」
なんと男性は、店が毎朝苺の納品を受けている農園の主、マルゴーさんだった。
「アイリーンさん、今日はこちらにご迷惑をかけてしまい、申し訳ありませんでした」
出迎えた私に、マルゴーさんは直角に腰を折った。
「え!? 私は謝っていただくような事なんてなにも……! とにかく、頭をあげてください!」
私はわけが分からないまま、とりあえずマルゴーさんに頭を上げてもらうように必死で取り成す。
「いえ、まさか娘が一人でこんな行動を取るとは思っていなかった。代金が足りない状態でお店を訪れて迷惑を掛けてしまった事は、やはり謝罪をしなければなりません。もちろん、きちんと代金も支払わせていただきます」
私は「娘」と言われてはじめて、マルゴーさんの謝罪理由に思い当たった。
「……あ、もしかして、午前中の女の子はマルゴーさんの娘さんですか?」
「はい。娘のカエラです」
なんと、あの子がマルゴーさんのお嬢さんだったとは驚いた。