偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
私と優香は三ヵ月前から中野のアパートでシェアしている。高校生まで母方の実家がある地方に住んでいた私とは違い、優香は広告代理店の社長を務める父と一緒に都内で暮らしていた。けれどある日、『お父さんが口うるさくてもう我慢できない!』と言って私のアパートに転がり込んできた。

「そっかぁ、叔父さんが寂しがってるって伝えておいてくれ、あんなにピーピー泣いてた姪っ子たちの成長を今でも楽しみにしてるってさ」

ニッと笑っておどけてみせる叔父につい苦笑いしてしまう。生まれた時から知っている叔父にとって、私たちはまだまだ子どものような存在なのだろう。でも、口には出さないけれど叔父は離婚の原因は母にあると思っていて、弟として負い目を感じている。いつも口癖のように『俺がちゃんと責任をもって世話してやるから』と、なにかと私たち姉妹のことを気にかけてくれていた。

小学生の頃、両親が忙しくて出席できなかった授業参観も、運動会も学芸会だって駆けつけてくれた。私にとって叔父は親のような存在だった。

「叔父さん、ごちそうさまでした。叔父さんの作るオムレツはいつ食べても美味しいね」

お腹が空いていたせいかあっという間にオムレツを平らげて、モスコミュールのおかわりをする。

「こんなんでよければいつでも作ってやるさ」

相変わらず優しい叔父に笑顔で返し、満腹のお腹を撫でながらふぅとひと息つく。そして、なにげなくチラッとテラス席の方へ視線をやると……。

「あっ」
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