偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
謝恩会のとき、まだ私は優香を演じていてそれを水城さんの目の前で愛美だと暴露されてしまったのだ。今思うと、遠い昔のような出来事に思えるけれど、梨花さんだってそんなこちらの事情なんて知る由もないし、彼女が悪いわけじゃないのはわかっている。わかっているけれど、どことなく梨花さんから放たれている私への嫌悪のオーラに、居心地の悪さを感じてしまう。
「いえ、気にしないでください」
「ところで、謝恩会に来ていたのは愛美さんのほうよね? あの後、有坂社長に挨拶に行ったらあれは優香だっていうのよ」
「え?」
それを聞いてぎょっとした。梨花さんと父の間に交流があることをすっかり失念していた。
あれは優香じゃなくて愛美ですよ。なんてことを、まさか言ったんじゃ……という焦燥感が一気にこみ上げてくる。
「あなたたち双子なの? 父親でも間違えることもあるのねぇ」
「そ、そうなんです」
梨花さんはお父さんが優香と私を勘違いしてるって思ってるみたい。よかった。
クスクスと笑う梨花さんにつられて私も乾いた笑みを浮かべる。
「それで? あなたは結局樹のなんなのかしら?」
「いえ、気にしないでください」
「ところで、謝恩会に来ていたのは愛美さんのほうよね? あの後、有坂社長に挨拶に行ったらあれは優香だっていうのよ」
「え?」
それを聞いてぎょっとした。梨花さんと父の間に交流があることをすっかり失念していた。
あれは優香じゃなくて愛美ですよ。なんてことを、まさか言ったんじゃ……という焦燥感が一気にこみ上げてくる。
「あなたたち双子なの? 父親でも間違えることもあるのねぇ」
「そ、そうなんです」
梨花さんはお父さんが優香と私を勘違いしてるって思ってるみたい。よかった。
クスクスと笑う梨花さんにつられて私も乾いた笑みを浮かべる。
「それで? あなたは結局樹のなんなのかしら?」