偽恋人からはじまる本気恋愛!~甘美な罠に溺れて~
今までにこやかに笑っていたかと思えば、梨花さんが急に鋭い視線を向けてきてドキリとする。
「謝恩会に樹とふたりでいたってことは、ただのお友達じゃなさそうなんだけど?」
返事によっては彼女を怒らせることになるかもしれない。梨花さんと父が懇意にしていれば、優香でなく私が水城さんと付き合っていることも知られてしまうかもしれない。
誤魔化して水城さんとの交際を否定するのも……。
けど、嘘はつきたくない。だって、水城さんとのことを否定したくないもの。
「私――」
「水城さんとお付き合いしてるんです」と、そう言いかけたときだった。
「ああ、ここにいたのか」
後ろから聞き覚えのある声がしてハッとなる。見ると、オフィスから下りてきたスーツ姿の水城さんが足早に歩み寄ってきた。
「梨花、なんでここにいるんだ。今夜の演奏者は田中さんに依頼してあったはずなんだが?」
普段は穏やかな水城さんだったけれど、珍しく眉間に皺を寄せ明らかに不愉快そうな顔を梨花さんに向けている。それでも優香さんは物怖じせずに平然としていた。
「謝恩会に樹とふたりでいたってことは、ただのお友達じゃなさそうなんだけど?」
返事によっては彼女を怒らせることになるかもしれない。梨花さんと父が懇意にしていれば、優香でなく私が水城さんと付き合っていることも知られてしまうかもしれない。
誤魔化して水城さんとの交際を否定するのも……。
けど、嘘はつきたくない。だって、水城さんとのことを否定したくないもの。
「私――」
「水城さんとお付き合いしてるんです」と、そう言いかけたときだった。
「ああ、ここにいたのか」
後ろから聞き覚えのある声がしてハッとなる。見ると、オフィスから下りてきたスーツ姿の水城さんが足早に歩み寄ってきた。
「梨花、なんでここにいるんだ。今夜の演奏者は田中さんに依頼してあったはずなんだが?」
普段は穏やかな水城さんだったけれど、珍しく眉間に皺を寄せ明らかに不愉快そうな顔を梨花さんに向けている。それでも優香さんは物怖じせずに平然としていた。