君のとなりで恋をします。─上─
「────────桃奈…。」
‘ 桃奈 ’
そう呼ばれた彼女は、こちらに敵意剥き出しの視線を向ける。
「久しぶりだね、柊くん。
ここに来たら何となく会える気がしたの!」
さっきこちらに向けた視線とは一転して、柊吾には最高に可愛らしい笑顔を向ける。
「ねぇねぇ!
今日柊くん家に行っていい?」
彼女の言葉に、思わず私の体は反応する。
………家に、行く?
ちょっと待って、どういう関係?
「俺、今日は家に帰らないから。」
「え〜、つまんなーい。」
体をクネクネさせて彼に縋る彼女に、私は思わず目を伏せた。