君のとなりで恋をします。─上─
…誰?
あんなに胸押し付けて…
てゆーか、なんで柊吾も振り払わないの?
自分の中で湧き上がる負の感情を押し殺すように、拳を強く握った。
「えーっと… 柊ちゃん。
その子、どちら様?」
私の心の中を代弁するように、遠慮気味に
咲花が尋ねる。
すると柊吾は、歯切れが悪そうに答えた。
「あー……
こいつは…いとこのいとこ?」
「水瀬桃奈(ミナセ モモナ)です。」
彼女のあからさまに素っ気ない自己紹介に少し苛立ったが、一応私達も名乗る。
「初めまして。紅林咲花です。
柊ちゃんとは一応幼馴染みです。」
「…初めまして。
同じく幼馴染みの成宮香純です。」
‘幼馴染み’。
桃奈さんの鋭い視線に、咄嗟に出た言葉だった。
少しでも彼女に怖気付いてしまった自分が、本当に情けない。
「────…で、香純は俺の彼女。」
私の自己紹介の後に、間髪入れずにそう付け足した柊吾。