【番外編 完】愛を知らない彼
そう思い至って、よく観察してみた。

まだ寝る時には授乳をしている俊介。
そのタイミングで康介さんが在宅だと、俊介が眠りについた途端に私を抱きしめて、

「はー今日の疲れも吹き飛ぶよ」

と、すりすりする。


それから、お風呂に入れてくれた康介さんから俊介を受け取って、お世話をすませると、そそそっと近寄ってきてすりすり……


とにかく、俊介のお世話がひと段落つくと、いつもすりすりしてくることがわかった。


なんか、かわいいかも。


そう思うと、もっとすりすりしてもらいたくなる。
そして、ちょっとだけいたずら心も起きてくるもので……

「俊君、だーい好き」
って、康介さんを見習って、私も俊介にたくさん〝大好き〟を伝えた。
最初こそ、微笑ましく見ていた康介さん。
でも、だんだん口元が引きつっていき……

「ちーかぁー」

って、聞いたことのないようなあまえた声を出して抱きしめて、盛大にすりすりしてきた。

「俊介、ママはパパのものだからな!今は少しだけ〝パパの〟ママを貸してるだけなんだぞ!!」

なんて言い出した。
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