サヨナラのために
「あのっ、神野先輩!」
放課後、下駄箱に向かう途中。
後ろから呼ばれた声に、振り向くと、そこには見たことのある一年生がいた。
「…なに?」
「一年の、佐々木です。ごめんなさい!突然…」
友達が隣でほら、言いなよ、と促す。
「岡本先輩と、付き合ってるんですか?」
ぎゅっと目をつぶって、なにかの攻撃に耐えるようにして彼女は私の声を待つ。
すごいと思う。
「…付き合ってないよ」
私は薄く微笑んで、そう答える。
彼女は目に見えてわかるくらいにホッとして、綺麗にラッピングされた包みを、私に渡してきた。
「これ、岡本先輩に渡しておいてくれませんか?」
「…わかった」
そっと受け取ると、彼女はペコリと頭を下げて、友達と2人で走って帰って行った。
綺麗にリボンで包まれた、想い。
…すごいと思う。
羨ましい、とも思う。