身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
玄関を開ければ、両親がそろって玄関まで閑を出迎えに来ていて、姿を見せた可乃子に驚いたように目を見開いた。
「いらっしゃい、閑くん。可乃子、お前やっと帰って来たのか」
「ただいま! ごめんなさい、仕事が忙しくて」
「仕方ないわよ、忙しい仕事なんだから。けれど痩せたんじゃないの? 身体は大事にしないとだめよ。ほら、上がりなさい。閑くんもどうぞ」
「ありがとうございます、お邪魔します」
思いもよらず賑やかな食卓になりそうだと、母親の顔は喜色を滲ませる。食卓の方から煮魚の匂いが漂ってきていて、いち早く可乃子が反応した。
「いい匂い……私のおかずもあるかしら」
「あるわよ」
母はさらりと言うが、元々三人分より少し多めくらいにしか作っていなかったので、煮魚は一切れ足りなくなってしまう。
――まあ、私のをあげればいいか。
多分、母もそのつもりだ。母と琴音で半分にすればいいという考えだろう。疲れて帰ってきた可乃子と閑が優先なのは当たり前なのだが、可乃子がいるとすぐに家族の中心は彼女になるせいか、つい敏感に反応してしまう。