身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
長年の僻み根性がひょっこりと顔を出し、ふっとため息が出て、次には自己嫌悪が増した。
――お姉ちゃんは久しぶりに帰ってきたんだし! 私は家で家事をしてただけだし、当たり前じゃない。
ぶるりと頭を振って嫌な感情を振るい落とす。靴を脱いで上がろうとした時だった。
「琴音、これ。お土産」
「え?」
閑が四角いケーキの箱を琴音に差し出す。
「プリン。琴音が好きな店の」
「え……あ! プティミエル? ありがとう!」
「多めに買ってあるから足りる」
プリンアラモードの種類がたくさんある、琴音お気に入りの店のロゴが箱に入ってあった。
「食事の後に出させてもらうね。ありがとう」
ぱっと顔を上げて閑を見上げると、くすりと笑って琴音の頭を撫でる。
閑が琴音の好きな店を覚えていてくれて、琴音のために買ってきてくれた。これだけで一気に機嫌が上昇できるのだから、自分は本当に単純だ。