身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
誰よりも一番、琴音が驚いて固まっている。
「琴音」
もう一度呼ばれた。今度は手招き付きだ。そこではっとなった。
「待って、すぐ行く!」
人数分のカップを乗せたトレイを持って、急いでリビングに向かうと母親が代わってくれた。
閑の手招きに従って、隣に座る。箱の中を見ると、六種類のプリンがひとつずつ並んでいた。
――あ。苺の、可愛い。
これが多分、可乃子が選ぼうとしていたプリンだろうとすぐにわかった。苺のはひとつしかない。
「すきなの選べよ」
「うん」
自分を最優先してくれたことが嬉しくて、そしてとても照れくさい。顔を上げられなくて箱の中だけ見ていれば、可乃子がからかい口調で言った。
「閑ってば、琴音は特別扱いなのね」
「当たり前だ」
間髪入れずにそう答えた閑に、琴音は耳がじんわりと熱くなるのを感じる。
「まあまあ、仲が良さそうでよかったわ。心配してたのだけど」
母親の安心したような声が聞こえて、父親の笑い声もした。
「仲良いよ。……これにしようかな」
琴音は苺とは違う、クリームとカットフルーツが乗ったプリンアラモードを選ぶ。ずっと俯いたままでいたから、きっと照れているのがわかったのだろう。閑から、ふっと笑ったような吐息が聞こえた。