身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
「私、閑さん送っていくから! お姉ちゃんの買いたいもの買って来るよ!」
可乃子を追い越し、並べてあった自分の靴に急いで足を入れる。
閑の隣に並んで、無意識に彼のスーツの袖を握りしめてから、ハッとした。
可乃子だけでなく、両親も見送りに立っているのに。おそるおそる振り向けば、ぽかんと琴音を見つめる目が三人分。
いや、四人だ。隣からも見おろす視線をヒシヒシと感じる。
かあっと顔中熱くなる。しまった失敗した、と思った。婚約者は琴音でも、閑と可乃子だって、琴音以上に仲が良かった昔馴染みなのだ。元恋人である前に。
ふたりで話すことくらいあってもおかしくないのに、こんな態度はあからさまな独占欲にしか見えないのではないだろうか。
それでも、やっぱりどうしても嫌で。ぎゅっと袖を離さずにいれば、一番最初に声を発したのは閑だった。
「すみません、遅い時間まで。琴音はコンビニに連れて行って、家の前まで車で送ります」
袖を握る琴音の手をそっと解いて、手のひらを合わせ握りなおしてくれた。
「そうね。ふたりで話すこともあるだろうし……琴音、閑くんは明日も仕事なんだから遅くならないようにね」
「閑くん、面倒だろうが頼む」
「はい。可乃子、何を買ってくればいいんだ?」
閑に尋ねられ、可乃子は数秒考えるような表情をしたあと。