身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~


「ちょっと、飲み物を買いたいと思っただけ。ミルクティ買ってきてくれる?」

 にこっと笑顔を浮かべ、可乃子は手を振る。わかった、と閑は頷くと、両親に向かい会釈をして、それから琴音に視線を戻した。

「行こう」

 手を引かれて、ふたりで家を出る。小さな玄関ポーチを一歩出ると、身体が軽くなった気がした。それは閑も同じだったようで、大げさなほどの深呼吸の音がふたり同時に重なる。

 きっと、気疲れしたのだろう。仕事の後なのに、それ以上に疲れさせてしまったかもしれない。

「お疲れ様」

 申し訳なくそう言うと、彼はぼそっと呟いた。

「やっとふたりになれた」

 反応できずにぴしりと固まる。隣を見れば閑は本当に疲れた顔をしていて、琴音の視線に気が付くとくしゃりと笑った。

「琴音こそ、お疲れ様」

< 115 / 239 >

この作品をシェア

pagetop