身ごもり秘夜~俺様御曹司と極甘な政略結婚はじめます~
 キスの熱さに覚えがある。婚約指輪を琴音の指にとおしてくれた、車内で初めてキスをした時。
 あの時と同じように、衝動に駆られるような閑のキス。けれど、あのときよりも激しい。口の中で、くちゅくちゅと水音をさせ舌がこね回される。深く繋がろうとする、貪るようなキスに琴音は一度閑の胸を叩いた。

 一度では止めてくれず、二度。やっと閑がキスを解いて琴音の目を覗き込む。

「……人、が」

 こんな外では、いつ人が来るかわからないのに。触れるだけのキスならともかく、頭の芯まで溶けてしまいそうなキスを路上で続けるのは無理だ。
 閑の手が唇に触れ、親指で唾液を拭われる。掠れた低い声で、「車に入って」とささやかれた。
 ぞくりとして目を細める。その声の艶かしさが、まだキスは終わらないのだと琴音に教えていた。





 コンビニには、閑が入ってミルクティを買ってきてくれた。それを手に家に戻れば、可乃子はもう自分の部屋に入っていた。

 まだ少し、唇が痺れているような気がする。ややゆっくりとした足取りで二階への階段を上がりながら、ぼんやりと思うことといえばキスの感触で。

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